
「〇〇式保育って聞くけど、うちの子に合うのかな?」
「自由すぎるのも不安だし、厳しすぎるのも心配…」
園選びで気になる“保育のスタイル”。でも、違いは意外とわかりにくいものです。
保育は子どもの「育ち」を支えるために、国が定めた『5つの領域』をもとに考えられています。
この5つは、心や体の成長に必要なバランスのとれた力。
園によって、どの領域に力を入れているか、育て方のスタイルが少しずつ異なります。
これから紹介する保育スタイルの違いも、「どんな育ちを大切にしているか」がヒントになります。
「5つの領域」って?
保育園と幼稚園では所管する省庁が違いますが、
「幼児期に大切にしたい育ち」の方向性は共通です。
そのベースになっているのが、次の5つの領域です。
🟢 5つの領域と育ちの内容
領域名 | どんな力を育てたい? |
---|---|
健康 | 体を動かす力、生活リズム、心の安定 |
人間関係 | 他人との関わり方、思いやり、協力 |
環境 | 自然や社会、モノへの興味や探究心 |
言葉 | 言葉で気持ちや考えを伝える力、語彙の獲得 |
表現 | 音楽や造形、身体表現など感性の広がり |
この5つは、どれも「遊び」や「日常生活」の中で育まれていくもの。
だからこそ、園のスタイルが子どもの育ちにどう関わるかが大事になってきます。
ほいくは「理念」と「方法」
いろいろな呼び方があるけれど…
保育園や幼稚園の方針には、「子どもにどんな力を育てたいか」という保育理念があります。
その理念を実現するために選ばれているのが、保育の方法やスタイルです。
たとえば、こんな違いがあります:
- 活動の進め方(先生の指示中心 or 子どもの主体性重視)
- 年齢の分け方(縦割り保育 or 横割り保育)
- 取り入れている教育法(モンテッソーリ、レッジョ・エミリアなど)
表で紹介した3つのポイントは、保育園や幼稚園ごとの「園のスタイル」を知るうえでとても大切な視点です。
- 活動の進め方:一斉保育と自由保育
- 年齢の分け方:縦割り保育と横割り保育
- 教育法・メソッド:モンテッソーリ、レッジョ・エミリアなど
それぞれの特徴を、具体的に紹介していきます。
園選びのヒントとして、「うちの子にはどんなスタイルが合いそうか」イメージしながら読んでみてくださいね。
「一斉保育」「自由保育」の実際
「一斉=みんなで同じことをする」
「自由=好きなことを自由に選べる」
そんなイメージがありますが、実はどちらか一方だけを行う園はほとんどありません。
多くの園では、活動によって「先生がリードする時間」と「子どもが選ぶ時間」をうまく組み合わせています。
保育のスタイルは、きっちり分かれているわけではなく、園によってバランスや考え方が少しずつ違うんです。
🧩 多くの園で見られる“バランス型”保育
園の一日 | どんな保育? |
---|---|
朝の会 | 一斉(集団行動の練習) |
自由遊び | 自由(自分で選ぶ力) |
製作活動 | 一斉+自由(部分選択) |
給食・昼寝 | 一斉(生活リズム) |
一見「自由保育」を掲げる園でも、時間帯によって一斉活動があったり、
「一斉保育」の園でも自由に遊ぶ時間がしっかりとあったり。
つまり、多くの園では「その子らしい育ち」を支えるために、
スタイルを柔軟に組み合わせているんです。
縦割り・横割りってなに?
保育園のクラス分けには、大きく分けて「縦割り(たてわり)」と「横割り(よこわり)」の2つのスタイルがあります。
- 縦割り保育とは:
異なる年齢の子どもたちが同じグループで生活・活動するスタイル。3〜5歳児が一緒のクラスになることが多く、年上の子が年下の子を手助けする姿もよく見られます。 - 横割り保育とは:
同じ年齢の子どもたちでクラスを構成し、発達段階に合わせた活動を行うスタイル。いわゆる「年少・年中・年長」といったクラス分けがこれにあたります。
園によっては、普段は横割りで行事のときだけ縦割りにするなど、組み合わせて実践している場合もあります。
それぞれの良さと気になるところは?
▼縦割り保育のメリット・デメリット
●よいところ
- 年上の子が思いやりやリーダーシップを育てやすい
- 年下の子はまねをしながら自然に成長できる
- 小さな「家族」のような関係が築ける
●気になるところ
- 年齢によって興味や活動レベルが違うため、一人ひとりに合った保育が難しい場合も
- 年上の子に負担がかかりすぎることもある
▼横割り保育のメリット・デメリット
●よいところ
- 同じ年齢の子どもたちが一緒なので、発達段階に合った活動ができる
- 「できた!」という経験を通じて、自信を育てやすい
- 担任の先生が年齢ごとの成長をじっくり見守れる
●気になるところ
- 年齢が同じなので、刺激や学びの幅が狭くなることも
- 協力し合う機会が少なく、思いやりや多様性への理解が育ちにくいケースも
うちの子に合うのはどっち?
どちらのスタイルにも良さがあり、「どちらが優れている」ではありません。
大切なのは、お子さんの性格や家庭の方針に合っているかどうか。
保育スタイルは園の「保育理念」にも深く関係しています。
園見学では、「どんな子どもを育てたいと考えていますか?」と聞いてみるのもおすすめです。
一言でまとめると!
・保育スタイルは5領域の育み方の違い
・名前はいろいろあれど、本質は理念と方法のバランス
・見学・体験・対話で園の雰囲気を感じてみよう